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July 10, 2007

今年の通常国会を振り返り

 選択的夫婦別氏制度については何もない通常国会でしたが、一応振り返っておきましょう。

○国会の動き

 まるでなし。衆議院には昨年の通常国会に超党派の野党が提出した「民法の一部を改正する法律案」が法務委員会に付託されていますが、ずっと「吊るし」状態です。つまり無視されっぱなしです。なぜならば、法務委員会の理事や委員も自民党議員が多数を占めているため、審議する議題にはならないのです。ただしいろいろな場でたまに引き合いにはだされますが、審議・参考人招致など、全く触れることはありませんでした。

 ちなみにこの法案は現在では「閉会中審査」扱いとなっていますが、廃案になっていないというだけで、現実には審議とか進展する可能性なんてあるはずもなく、つるされたままです。

 参議院では通常国会の終わりごろに(毎回のごとく)民法改正案が超党派の野党から提出されましたが、今回は国民新党が加わりましたが、内容は再婚禁止期間のみとなりました。

○自民党の動き

 まるでなし。法務部会も当然なし。それどころか、「微動すら許さない」という気合いの入った役員人事で、話題にすることすら御法度という雰囲気です。なにせ政務調査会長が夫婦別姓に大反対の中川昭一氏がいますから、法務部会すら開催できなかったのではないでしょうか。

 今年家族法では嫡出推定、いわゆる「300日問題」が浮上しました。それと関係が深い再婚禁止期間も注目を浴びました。当初、首相ですら前向きだったのに法務大臣が中心となり、阻止して通達で対処してしまいました。その経緯で「これを認めたら、夫婦別姓もなし崩し的に成立してしまう」というような意見もあったようです。

 現在の自民党では「民法改正、選択的夫婦別氏制度に関する法改正は何が何でも阻止する」という雰囲気です。そのためには関連する法案すら通さないと。そこまで警戒されると手も足も出せませんが(苦笑)、夫婦別姓に繋がるものなら何でも阻止するというのでは不具合が蓄積して結果的にはよくないような気がするのですけど。

○政府の動き

 まるでなし。首相・内閣も夫婦別姓に反対する議員が占めています。特に選択的夫婦別氏制度に関係のある法務大臣(長勢氏)、男女共同参画担当大臣(高市氏)がこれまで阻止してきたメンバーで、がっちりガードしているからです。

 かつては選択的夫婦別氏制度に前向きな法務大臣もいました。例えば森山大臣の時はかなり成立に近いところまで進んだのですが、あの時を警戒して、法務大臣はじめ関係大臣は夫婦別姓に反対するような人物を選ぶようになってきているようです。なにせ人事権を握る首相が反対ですから。

○内閣府の世論調査

 箸にも棒にもかからない状態ですが、ただし、ほぼ恒例となっている家族の法制に関する世論調査の結果が公表されました。結果はどのメディアも「賛否拮抗」と報じましたが、回答者に問題があったという指摘があります。

 例えば2007年6月15日号のジュリストで二宮周平氏が寄稿した「夫婦別姓(選択的夫婦別氏制度)」によると、回収率の低下が影響しているそうです。特に60代以降の割合が高く、賛成の数値を下げてしまったようです。なお20代~50代で見ると5年前の結果に比べてほぼ変わらないことが分かります。

○請願署名

 政治の世界では夫婦別姓はうんともすんとも動きませんが、請願署名は粛々と出ています。衆議院Webサイトの請願から確認できる分だけ列挙すると、以下のようになります。資料館の請願にも追記してあります。今年のトータルは1,789通、これまでの累計は43,540通になりました。

-選択的夫婦別姓の導入など民法の改正に関する請願(65通)
-民法を改正し、選択的夫婦別氏制度の導入を求めることに関する請願(655通)
-選択的夫婦別姓の導入などの民法改正を求めることに関する請願(1,069通)

 こんなところでしょうか。虚しいですね。安倍政権のうちは夫婦別姓は全く相手にされないことでしょう。しかし参院選後はどうでしょう。ただ参院選で負けても首相は責任取らないようですけど。でも参院選の結果次第で選択的夫婦別氏制度の法制化の行方も変わってくるのは確かです。もし選択的夫婦別氏制度を望むのであれば、投票では法改正に賛成する政党や議員をよく念頭においておくといいかと思います。

※業務連絡※

 参院選期間中は公職選挙法により、政党や候補者の氏名を記載することは控えるようにします。コメントへの記載も含みますので、念のためコメントを承認制にしようかと思っています。

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Comments

夫婦別姓を待ち焦がれているひとりです。
やむなく夫の氏を選んで婚姻届を提出し、それ以来戸籍のなまえと30数年間名乗ってきたなまえの間で揺れています。
私の職場では旧姓使用が認められていません。
プライベートは全て旧姓を維持してますが、一日の大半を過ごす職場で旧姓が使えないのは苦痛以外の何ものでもありません。
そんな大袈裟な・・・とも言われますが、私にとっては大問題。
私の住む県は、全国でいち早く職員に旧姓使用を認めたというのに。
旧姓使用が認められる職場って、全国ではどのぐらいあるんでしょうね。
職場にはずいぶん掛け合いましたが結果はNOでした。
使用したいと申し出る人がいたら、認めるべきという勧告か何かがあったような気もするのですが。
新しいデータの情報があれば教えてくださいませ。
私も勉強します!!
やはり民法改正を望みます。

Posted by: 事務屋 | July 14, 2007 at 04:24 AM

コメントありがとうございます。
お返事と公開が遅れてすみませんでした。

お気持ち、とてもよく分かります。
改姓が理不尽だと終わりのないストレスを抱えることになります。
回覧板で名前ハンコを押す時、名前を記入する時、名前を呼ばれる時、ひとつひとつは些細なことでも名前に関することが起きるたびに悔しさや悲しさが襲ってきますものね。これが毎日のように続くと、塵も積もれば山となり、ストレスも増大してきます。どんどんつらくなるんですよね。

せめて通称でも旧姓が使えばいいですね。
職場において旧姓使用の第1号となると、あちこち交渉したり面倒かもしれませんが、誰かが開拓しないと「旧姓使用」ができない職場もあるのかもしれません。
男女共同参画局の旧姓使用に関する資料などを確認して、理論武装した上で交渉してみてはいかがでしょうか。
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/siryo/ka04-7.pdf

Posted by: 夫婦別姓を待つ身 | July 16, 2007 at 01:42 PM

ありがとうございます。
何度も送信してすみませんでした。
国家公務員についての申し合わせ、もう6年も前なんですね。
このニュースが流れた時、当時の課長が、「名前が変わるなんてたいしたことない。俺は変えてもいいぞ。」と言っていたのを覚えています。
この職場で夫婦別姓のことは切り出せない・・・と落胆しました。
回覧板で名前ハンコを押す時、名前を記入する時、名前を呼ばれる時、ひとつひとつは些細なことでも名前に関することが起きるたびに悔しさや悲しさが襲ってくる・・・まさにそうなんです。
この気持ちを分かっていただける方がいて、少し気が楽になりました。
制度に振り回されるのはばかばかしいと思いながらも、離婚届の提出を考えています。

Posted by: 事務屋 | July 17, 2007 at 03:00 AM

事務屋さん、

そうなんです。6年前なのですが、ただ実践に踏み切れる人がいるかというと疑問ですね。先陣となると苦労すると思います。

「俺は変えてもいい」課長、本当ですかね(笑)
やってみたら気が変わるのでは?

冗談はさておき、誰が改姓するか・誰も改姓しないかは夫婦が決めることですが、必ず片方が改姓しなければならない現行法に合理性・必然性があるのか、そこが問題なんですよね。

ただ悪法もまた法、という言葉もあります。
夫婦を同氏にすることの意義がないとは思っていないので、民法750条を悪法と断じるつもりはありませんが、現状において「選択的」夫婦別氏制度を許可しないのは立法府の不作為だと思います。

法整備の不備だとしても、現行法は現行法です。不備で不便を強いられているとしても、現行法の範囲で知恵と勇気で不便を減らすことは積極的に行うべきだと思います。ペーパー離婚や事実婚が増えれば法改正ができなくても実践が変われば、いずれ法律が追いついてくるかもしれませんから。。。
ただ無理せず、夫婦の合意も大事にしてくださいね。。

Posted by: 夫婦別姓を待つ身 | July 17, 2007 at 11:42 AM

コメント、ありがとうございます。
今まで一番の理解者だと思っていた夫と話をしていく中で、重大な考え方のずれがあり、愕然となりました。
やはり婚姻届を出したのは間違いだったと後悔しても後の祭り。
夫は「ペーパー離婚は法の悪用、非嫡出子は将来どういう不利があるかわからないけど、ちゃんとした戸籍のもとに子供を迎えたい。」と言います。こんなことを言う人ではなかったのに。
すみません。愚痴ってしまいました。
冷静に、冷静に・・・(^_^;)
スレ汚し、失礼しました。

Posted by: 事務屋 | July 17, 2007 at 09:43 PM

事務屋さん、どもども。
最も信頼すべき相手である配偶者に理解してもらえないのはとてもつらいんですよね。
「法の悪用」ですかあ。その「法」が不自由なのにね。
婚外子を懸念するのは一理あるとは思います。でもそれは法的な続柄ではないかと思うのです。それはそれで大事ですが、そのために配偶者であり子の母となる人が名前で苦しむこと(氏名権とかね)を見過ごすのでしょうか、ってことなんですよね。

ただ部外者が何をいってもご主人がどう納得するかですよね。恐らく改姓の不都合が実感できないのでしょう。不便に直面するたびにそれを伝えることを繰り返していけばそのうちに理解してもらえるかもしれません。どうぞ根気強くがんばって。。。(^^)

Posted by: 夫婦別姓を待つ身 | July 18, 2007 at 12:56 PM

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