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June 17, 2006

国際結婚で別姓は合法なのに

 日本人同士で婚姻届を出そうとすると、たとえともに海外在住であろうとも、夫婦の氏を片方に決めなければ届が受理されません。ところが、片方でも日本国籍でなければ別氏でも婚姻が認められます。日本人でも夫婦別姓が合法になる場合があるのです。

 いぜん「デフォルトがバラバラ」でも書きましたが、日本人同士だと「家庭が崩壊する」と絶対認めない夫婦別姓を、国際結婚ならおとがめなしというのはちょっとどうかと思います。「もう、絶対日本人は同姓でいくんだよと」という方針というかホンネのようですが、それでは反対理由の「家庭が崩壊する」は筋が通りません。

 というような、国際結婚において夫婦別姓は黙認であるのに、なぜ日本人同士の婚姻で別姓を認めないのかという話を改めて民主党枝野幸男氏が6月14日の法務委員会で質問してくれました。まだ議事録が出ていませんが、今の段階なら衆議院TVで録画を見ることができます。ビデオライブラリから6月14日を選び、法務委員会を選び、「枝野幸男(民主党・無所属クラブ)」を選びます。すると動画が再生されます。約1時間ありますが、氏についての話はおおよそ35分経過したところから約8分ほど続きます。

 そもそもこの日の議題となる「法適用通則法案(164国会閣43)」は衆議院HPで法案の本文を見ることもできます。ちなみに法案は委員会審議の翌日(6月15日)にはあっさり衆議院で可決、そして成立となっています。早っ。民法改正もこのくらい素早くやってほしいですよね。

 詳しくは衆議院TVまたは後に出てくる議事録で確認してもらいたいのですが、軽く質問の流れを追うと、まず枝野氏が国際結婚における氏のルールはどうなっているのかと質問します。すると、三ッ林法務大臣政務官が答えます。ちなみにこの三ツ林氏は自民党の衆議員で、かつて2001年に野田聖子氏ら選択的夫婦別氏制度を推進する自民党内有志議員で党三役(自民党の偉い人)に申し入れしたときのメンバーに名を連ねています。お気持ちに変化がなければ賛成です。

 三ツ林氏のお答えは、まず国際結婚における結婚改姓のルールというのは特に規定がないということです。それで婚姻に伴う氏の変更については、(1)氏名権という人格権という側面と、(2)婚姻という身分変動の効果、という2つの見方があるそうです。となると特に規定は設けていないので、(1)ならば氏名権に関する法律、(2)ならば婚姻に関する法律、どちらを参考にするべきか見解が分かれるということのようです。実際には各国いろいろなので解釈に委ねていると。でも法務省としては、結婚で氏を変更するルールについては、夫の氏は夫の国のルール、妻の氏は妻の国のルールを参考にするのがいいんじゃないかなと考えているそうです。

 まだよく分かりにくいかもしれませんが、要するに(1)の側面で考えるのねと枝野氏がまとめてくれました。でもそうだとしたら、こう思うじゃないですか。

なぜ、その思想を我が国の民法の改正にあたって貫かないのですか。(枝野氏)

 そうだーそうだー(拍手)。そうですよー。一貫性がないですよ。そうした法律上の解釈があるなら、なぜ、日本人同士の結婚でも氏名権や人格権で考えてくれないんですかー。おかしいじゃないですか。整合性がないですよ、理念がないですよ、つじつまが合いませんよ。そうでしょう、ねえ大臣。

 そういう選択的夫婦別氏制度を待つ身の気持ちを枝野さんは見事に大臣にもぶつけました。そうしたら大臣は間違えて枝野さんが次に質問することへの答えを読み上げてしまったようなのですが(国会って台本を読み上げる場なんですね。改めて気付きました)、今まで通りの言い訳をしていました。

先生たちが主張しておられる選択的夫婦別姓制度の導入については、これは立法政策の問題でございまして、(中略)まだ多方面の十分なご理解をえることが難しい状況にあると言わざるを得ないとわたしどもは認識をいたしております。(杉浦法務大臣)

 要するに、自民党内の一部のおじいさん&おばさん議員、それからその支持団体らが頑として聞き入れてくれないということですね。

 ただ「立法政策の問題」と言いながら法務省が傍観しているようなところが少し腑に落ちません。確かに立法であれば国会(議員)で定めることですが、実際には多くの法律は行政(役人)が定めてしまうではないですか。でもね、確かに法制審答申いらい、政府案として民法改正を国会に提出しようと試みても自民党の一部の国会議員が猛烈に阻止しまくったんですよね。太田誠一氏なんて「法務省の陰謀だ!」と叫び散らしたとか。

 だから厳密に言えば、法務省は傍観でもないと理解しています。自民党が国会で多数の勢力を維持しているうちは、自民党内にある激しい拒絶感が鎮まらないとどうにも先に進めませんから。それに一応法務省も国内へむけて啓発をしているようです。それが法務省民事局が出している「「選択的夫婦別氏制度」について」です。ものすごい労力をかけているとは言い難いですが、自民党内の猛烈な逆風の中でこうしたことをしてくれているのは貴重なことだとは多少は理解しているのですけど。……正直、ちょっと物足りないです。

 しかも。男女共同参画白書2006年版にある選択的夫婦別氏制度について追加された記述にあった、タウンミーティングでチラシを配布しているというのは、なんと上記「「選択的夫婦別氏制度」について」のページを印刷したものだそうです。内閣府タウンミーティング担当に問い合わせたら教えてくれました。

 理論で考えれば日本人同士の婚姻でも「ともに氏を変えない」という選択肢を阻む合理的な理由はないと思うのですが。どうしても「イヤ」というお気持ちが残っていてダメなんだよということらしいです。いったい、いつまで待てばいいのやら(ため息)。

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