名字の「へえ」な話
夫婦別姓に携わっていると珍しい名字に遭遇する機会が多いです。やはり、珍しい名字となるとそれが自分のアイデンティティーとして根付くことも多いのでしょう。また、自分の婚姻により名字を絶やしてしまうのでは「もったいない」と思うのも自然な気持ちだと思います。そうした気持ちの是非はひとまずおいといて、名字にまつわる雑学が詰まった本がこちらです。
| 名字の謎―その成り立ちから日本がわかる! | |
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第1章 日本人の名字おもしろ知識
第2章 名字はこうして誕生した
第3章 日本全国の珍名さん大集合
第4章 名字でわかるあなたのルーツ
第5章 天皇家から源平藤橘まで…日本の名家物語
第6章 姓名にまつわる不思議な話
第7章 日本とこんなに違う外国の名字と名前
例えば「南蛇井(なんじゃい)」、「四月朔日(わたぬき)」、「十(もげき、えだなしetc)」、「小鳥遊(たかなし)」のように難解ものの数々、「服部」が「はっとり」と読むまでの経緯など、名字の背後にある歴史やドラマなどが解説されています。明日の生活や民法改正には、おそらく無縁でしょうけど楽しく読めます。
日本では明治までは多くが名字を持ちませんでした。それでも歴史を見ると、氏にしろ姓にしろ、多様なドラマが隠れています。分家して新しい名字を創設したり、事情があって改名したこともあったようです。それに武家や特殊な身分では、違う氏を持つ夫婦もいました。
そう考えると、夫婦の同氏で歴史や伝統を語ろうとするのは、かなり無理があります。無理があるどころか、その人の歴史認識を疑いたくなります。少なくとも、その人が持つ名字には深い歴史があるとはとうてい感じられません。
それから氏や姓など、氏名を構成するパーツはかつては多様でしたが、良くも悪くも現行法の公的書類においては氏名は「氏」と「名」の二種類に集約されています。また世間には一族を示す名前があるのも確かですが、現行法では集団名を公的に登記することはしていません。氏名は一人ひとり個別に持つようになっています。
強調したいのは、歴史と現行制度、または慣習と制度を混同してはならないということです。歴史や伝統を否定するつもりは毛頭ありません。
なんにせよ、制度の範囲外なら自由にできるのです。例えば親せき同士なら、戸籍名ではなく「仙台の美子です」と地名を盛り込んで名乗ることもあるでしょう。屋号にしろ一族の名前にしろ、自由に持ち使えるのです。
なぜそういうことをいうかというと、夫婦別姓が法制化されれば「○○家」という表現や概念が無くなると心配する人がいるからです。それは無用の心配です。歴史のある家系図を見れば、必ずしも全員が同じ氏や姓を持つとは限りません。「佐藤家の田中由美子です」という人がいてもいいと思います。歴史ではそういう例もあったはずです。それが許容できるかどうかはその一族の寛容性の問題であり、現行法では一族を代表する表記には法的な意味はありません。
そうした法律とは別次元の問題は自由でいいと思います。しかし法律の問題は法律の範囲内で厳密に考えていくべきだと思います。
現行法では婚姻が成立するためには、夫婦で氏を統一しなくてはなりません。そのため、片方が公的氏名を変更せざるをえなくなります。そうなると、公的氏名で銀行口座や資格を持つ現代社会においては、結婚改姓により日常生活や職業生活に深刻な悪影響を及ぼすきっかけとなりうるのです。
夫婦別姓は現行制度における実在する問題です。本質から外れた議論や解決策はいくら論じても問題は収束しません。それだけは忘れないでほしいといつも願っています。
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» 夫婦別姓問題をめぐる歴史認識と今後の社会 [雑記帳]
夫婦別姓問題をめぐる問題とそこでの歴史認識について、今年2月5日分の記事と今年2月14日分の記事にて述べましたが、その後も少しずつこの問題について調べています(以下、青字が引用箇所です)。ネットで検索してみて改めて思ったのは、夫婦別姓容認論の側には、日本における夫婦同姓は明治以降の根の浅いもの(創られた伝統)との見解が根強くある、ということです。... [Read More]
Tracked on February 27, 2008 at 12:01 AM



Comments
こんなエピソードがあります。
大正時代の話ですが、地域に住む男と、本土から来た男が同じ年ということで、親しくなり、
(うろ覚えなのでそれぞれの姓を知りませんが、仮に上原、佐藤とします)
ある日、酒盛りをしていた二人がふと、自分の姓を話題になり、
お互い、自分の姓には不満だとか、気に入らないとか・・・
どちらかが言い出したかは知りませんが、
「そうだ、いっそのことお互いの姓を交換しないか?」
マジで姓を交換したそうです。
で、現在、二人の子孫はそれぞれ交換した姓をそのまま名乗ってるそうです。
Posted by: MU@沖縄 | January 09, 2005 at 09:20 AM
服部さんは服を作る技術を持った人が先祖ですね。
~部さんは確か、その昔朝鮮からある技術を日本に教えに来た人たちだと聞いたことがあります。
Posted by: 中は切っても発出さん | January 10, 2005 at 12:02 PM
姓の交換、時代によらずありそうですね。
映画「フェース/オフ」をほうふつとさせます。
現代ではどこまで交換すれば運用可能か興味がありますが。
服部さんとはご指摘の通りです。
服織部(はたおりべ)が由来だとか。
この本によると「~部」とは職業を司る単位と書いてあります。こういうのは海外から伝来した技術と関係の深いものもあるのでしょうね。
Posted by: 夫婦別姓を待つ身 | January 10, 2005 at 02:31 PM