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July 27, 2004

戸籍にまつわる誤解[バツイチ]

 夫婦別姓にまつわる誤解はこちらにまとめていますが、それ以前に戸籍も誤解は多く存在します。

 多くの人が熟知するほど戸籍は身近な存在ではないから無理もないかもしれません。私もこういう問題を考える前は無頓着でした。でも夫婦別姓問題を考えるなら、一度はご自分の戸籍の現物をまじまじと見てみることをお奨めします。それからこちらも超おすすめです。

 戸籍にまつわる「ありがちな誤解」として初回は「バツ」を挙げます。誰もが知るスラングで離婚したことを意味します。離婚経験2回なら「バツ2」など。もとはといえば、離婚すると同じ戸籍に載っていた人が別の戸籍に移るので、削除の印に「×」がついたのが由来です。

 ですから×は離婚ではなく削除を意味します。移動のための削除、つまり除籍です。戸籍はかつて紙で管理されていたため、×で削除としたのでしょう。ただし昨今の電算化された戸籍ならバツはつかないが、更新履歴は残るそうです。でも説明しやすいように、×と表現することにします。

 ×は除籍ですから、離婚する前に誰もが×を経験しているのです。なぜなら、戸籍は夫婦とその子供で編成されるため、結婚すると両親の戸籍から別の戸籍に移らなくてはなりません。結婚せず離婚することはできないため、離婚する以前に結婚した時点でバツは生じているのです。

 しかも。

 単純な離婚なら×は筆頭者以外の人間につくだけです。除籍する人に×をつけるのですから。例えば太郎さんと花子さんが離婚したら、どちらかのみが除籍になります。よくあるパターンとして太郎さんが筆頭者だったとしたら、花子さんは実家の戸籍に戻るか新しい戸籍を編纂するため、花子さんにだけ×がつくわけです。

 えっ?不公平だ?平等に×をつけるべき? だから×は離婚したという印じゃないんですってば。

 そうなると、離婚経験を意味するスラングとして「あの人ってバツイチなの」というのは適切ではない場合があります。離婚した人が戸籍筆頭者ではなかったとしたら×は2回ですから正確には「離婚1回でバツ2」です。戸籍筆頭者なら「離婚1回でバツ1」で×の数は合っていますが、バツの時期が違います。

 男性の場合、結婚や離婚を繰り返しても、たいていは最初の結婚から戸籍筆頭者になる場合が多いので離婚を2回しても×は相手にしかつかないことが多いです。もし「オレってバツ2なんだ」と語る男性がいたら、「じゃあ前の結婚では奥様が戸籍筆頭者だったのかしら。うふふ」と冗談を言ってみるといいでしょう。

 なかには「私はバツ1だけどマル2なの」という人もいます。発言の趣旨は「離婚をしたがめでたく再婚した」と伝えたいのですから喜びに水を差さないように「おめでとう」といいながら、加えて戸籍に記載する結婚の記録はマルではないことを伝えましょう。もちろん、婚姻を示す表記はハートマークでも、あいあい傘でもありません。

 今年の自民党法務部会では「夫婦別姓が可能になれば夫婦は元から別の名字だから、離婚したことが分からなくなる。戸籍にも×がつかなくなる」と猛然と反対した議員がいたそうです。何を根拠にそう信じるのか、厚顔無恥もいいところです。婚姻履歴は公的書類を見れば明らかで、分からないなんてことはあり得ません。×がつかなくなるかどうかは、戸籍が紙か電子化されたかによります。

 そもそも、なぜこれが反対意見になるのか理解に苦しみます。この議員は個人の婚姻・離婚履歴を誰でも閲覧可能にさせたいのでしょうか(プライバシーの無い世界ですか?)、それとも×印に特別な愛着でもあるのでしょうか。婚姻の状況を知りたいなら、当人達に聞けばいいではないですか。

 次回は戸籍の誤解パート2として「筆頭者」を予定しています。

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