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April 25, 2004

憲法を努力目標として考える

 とある大学が実施している法律学の社会人講座に足を運んでいます。
私はとっくに大学を卒業しましたが法律は専門でなかったので、基礎編でも十分ためになること多しです。

 法律学と言えば最初に学ぶのが憲法。講師の先生はカーネルサンダースのような体格とつぶらな瞳で冗談を交えながら丁寧に憲法を語ってくれます。どことなく「スラムダンク」に出てくる監督を彷彿とさせます。

 憲法14条を語りながら「ちなみにね、門地(もんち)のことを”玄関の前の土地”と勘違いした学生がいました。違います。家柄のことです。門松は玄関の前にある松だからいいんですけど、それと勘違いしないでくださいよ」などと言い、吹き出しました。

第14条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 続けて「たまに憲法14条に差別禁止と書かれているのに、”世の中差別だらけじゃないか”と怒る人もいます」と言いました。そして周囲を見渡し、間をおいて言いました。「あったり前です」。

「人間は差別と戦争が大好きなんです。いつまで経ってもやめられないんです。だからこうして書いてあるんです。差別にもいろいろとありますが、憲法13条にある”人種、信条、性別、社会的身分、門地”によって差別されやすいのです。だからこれらの項目で特に差別しないようにしましょうということです」

 なるほど、努力目標なわけですね。

 だから憲法に書かれていることと現状が食い違っても、それは悲観することもないのかもしれません。そうなりがちだから特に気をつけましょう、という事柄だと思えばいいわけですね。人類、どんなに素晴らしい社会制度を制定しても人間のネガティブな部分が消えることもない。そういえばNHK高校講座世界史の先生は「民主主義というのは、制度として制定すれば完成ではありません。継続して実践することに意味があるのです」と欧米の民主主義のきっかけになる革命についてそうコメントしていました。

 ふと考えると、法律はみんなで作り上げるものという感覚が日本には希少な気がします。交通ルールがその典型かもしれませんが、法律やルール(慣習法も含め)は絶対服従が前提で、守らなければそれは不心得であるかのような。もちろん、守ることには意義があります。でも、思考停止になってまで妄信するのはどうでしょう。

 現状の法律が夫婦別姓を認めないからといって、法律を変えることに拒絶反応を示して夫婦別姓に反対する人もいます(そういう人に限って憲法9条は別扱いのようですが、苦笑)。

 不都合があれば変更する、より時代や必要性に適するように法律の完成度を高めること、それこそ民主主義だと思えます。

「ああ、それからね。選挙でいう”ドント方式”をかけ声だと勘違いした学生がいました。これはフランスのドントという人が考えた計算式だからドント式っていうんです。かけ声じゃありませんからね」。あはは。

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Comments

憲法とは何か?という問いに対して、宮台真司氏が米国の憲法学者ローレンス・レッシグの著書を引用しています。レッシグは、
(1)憲法が国民から統治権力への命令で、(2)法律が統治権力から国民への命令で、(3)憲法が法律に優越するとは、国民からの命令の範囲内でのみ統治権力は国民に命令しうるということ......
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=80
と語りました。
この説明は明快で、常に忘れないようにしておこうと思ったのです。『憲法を努力目標としてとらえる」という考え方にも通じるのではないでしょうか。

Posted by: sensei | April 27, 2004 at 01:00 AM

コメントありがとうございます。確かにそうですね。
憲法というのは当地権力への抑制につながるとも言えそうですね(そういう話も聞いたような)。教科書通りの当たり前の結論なんでしょうけど、ようやく実感を伴って理解し始めたと思える今日この頃です。
ご提示のブログ、今からでもトラックバックつけられるかな?

Posted by: 夫婦別姓を待つ身 | April 27, 2004 at 11:07 AM

誤字発見(^^;。当地権力→統治権力でした。

Posted by: 夫婦別姓を待つ身 | April 27, 2004 at 11:10 AM

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